キャラの年齢談義


スト2がこれほど熱狂的に支持された最大の理由は、「キャラにプロフィールを持たせたこと」に尽きます。

 

 

画面上で思いのままに動いてくれるキャラに国籍や生年月日、血液型、特技、すきなもの、きらいなものなどのプロフィールが付与されていることによって愛着がわき、二次元の世界にも三次元世界と同様の世界観があることを共有することができました。

 

 

われわれ三次元で生きる者からしてみれば、今頃彼らはどんなふうに生きているだろうと想像することもまた一興ではあります。

 

 

三次元世界と決定的に違っている点は、彼らには永遠性を持たされているという点です。

 

 

彼ら二次元世界にはエントロピーの法則がありません。すなわち、「形あるものは、かならず朽ち果てる」という法則です。

 

 

リュウも春麗も、生年月日を与えられてはいても、容姿が変わることはありません。モナリザは年をとりません。たとえキャンバスが消失したとしても、人類の集合意識の中で若さを保ったまま永遠に記憶の中で生き続けるのです。

 

 

これは三次元世界においては、超一流の世界の頂点でこの世を去れば、永遠性をともなう伝説となれる――アイルトン・セナ、マイケル・ジャクソン、イエス・キリストは良い例です。このように三次元で伝説になれる者はたぐいまれです。

 

 

われわれ三次元に生かされている人間にとって、永遠に記憶を保ったまま生き続けたいと願うのは魂の根源の欲求です。それゆえ、二次元世界の永遠性に憧憬を抱き続けるのです。

 

 

もうひとつの相違点は、三次元世界では進化することができるということ。だからこそ、わたしたちは時間ある世界で、限りある肉体に宿ることを許されたのかもしれません。

 

 

二次元世界を生み出すことのできる、われわれ三次元の住人は、彼ら二次元世界に時間軸を設定することはできても、彼らに進化させることはできません。彼らを進化させるには、三次元から彼らの時間軸移動をさせなければならないのです。

 

 

カプコンさんは二次元世界の創造者です。SFⅠ→Ⅱ→0→Ⅳ→Ⅴ→Ⅲ・・・時間軸設定は思いのままです。彼ら二次元のキャラクターは与えられた時間軸で永遠に生き続ける。その永遠性は、人類の集合意識の記憶として刻印され、共有される。

 

 

リュウは永遠にリュウのままで、春麗は永遠に春麗のまま、エントロピーの法則に従うことはない。

 

 

ひるがえってわたくしめは、勝手に彼らの時間軸を移動させて小説なんぞ書いて楽しませていただいております。二次創作の醍醐味は、二次元キャラの人生の構築者となれることなのかもしれません。SFを生み出し、このような楽しみを与えてくださったカプコンさんには、ただ感謝の念でいっぱいなのでございます。